晴れたある日。
「喫茶店は今日は休みにして畑を見に行こう。」
最近、梅雨入りした近畿地方は雨が続いて、
晴れ間を見たのが久しぶりだった。
日曜日だと後輩や友人たちと賑やかに集まる畑も
今日は一人で向かう。
晴れ間が見える空はきれいな青色。
その色合いには夏の気配が見え隠れしている。
畑は前日まで雨が続いていたせいだろう、濃い土の匂いがした。
見渡すと「あっ」とびっくりした。
エンドウ豆とオクラの種を蒔いていた畝に
柔らかい緑色の芽が出ている。
本番はこれからなのはわかっていても感動は抑えきれない。
畑を耕すことも、土に触れることも経験のない歳の離れた後輩達は
どんな反応をするだろう?
天気予報ではしばらく雨が続くらしく、水やりはそこそこにし、
畑の周りの草むしりと次の日曜日のために何も植えていない
更地を掘り返しておく。
汗をぬぐって休憩しながら家から持ってきた麦茶を飲む。
今日は一人だが、また次の日曜日には賑やかになる。
それはそれで楽しみだ。