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2011/05/28

「tramonto 」

夕日を見るのが好きだ。


子供の頃、夏になれば母が忙しい仕事の合間を縫って
兄妹3人を海水浴につれて行ってくれた。

残念ながら、よく行く海水浴場では沈む夕日は見れなかったけれど、
背後から差し込むオレンジ色の光線は私たちの帰る合図だった。

海水浴客の少なくなった海を見ながら母の買ってくれた
アイスクリームを頬張る。
防波堤に座った茶色く日焼けした背中。
話し声の静かになった妹達。
秋を呼ぶ空。
遠いさざ波。

思い出の中にいる自分は淡いオレンジ色の中にいた。


写真を整理していたら、どこで撮ったのかも憶えていない
1枚の夕日の写真が出てきた。

憶えていない記憶の代わりに懐かしい思い出が溢れてくる。


「あぁ....そうだった」

仕事に夢中になって夕日を見る機会が少なくなった。


古い1枚の写真。